9月の展覧会 2004年

浅見 ハナ

2004年 9月14日(水) 〜10月2日(土)

レセプション  9月17日(金)5:00-7:00PM

開画廊時間 :火〜土 12:00-6:00PM

 

浅見 ハナ

オリジナルプリント+手彩色

Gallery NYCooの5回展、浅見ハナ個展が開催される。個展出品作はドウローイングではなく「紙の上の作品」と呼ぶべきだろう。作者とほぼ同世代の人物像が単純 化された構成と色彩の中に高度に洗練された描法と感覚で描かれている。楽しく見ることの出来る作品群だ。

この作者のイラスト、デザイン歴20年の背景を知り、これらの絵はCGの世界を通り出てしまった世代が落ち着く一つの絵画領域を示し、作者がそこに辿り着 いた感動を現わすのかと思う。言い換えると、CG,アニメの影響を真っ向から受けた世代、しかし、そっれだけに充足せず、如何にしてそれを抜け出て、次に 何をすべきか、を考えていた限られた人々の中に彼女がいた。「自分の絵とは、何だろう?といつも疑問を持ち」続けていたと浅見は述懐する。そして到達した のがこの個展の作品なのだ。CG、アニメで得た目と感性が出自の伝統的素養と日本画出身と言う基板の上で創り出した帰着点とも言えるだろう。

浅見が「自らの表現を手にした」と言う制作過程は、サインペンで描写されたドウローイングをMACにスキャナ−で入力、顔料インクジェットプリンターで日 本画用和紙にプリントアウトし、その上にアクリルガッシュにより手彩色をする、と言うステップを踏む。このステップはイメージを客観的に見る機会を作者に 与え、また、整理してくれる。時には予想を超えた効果を出してくれ、作者、そして見る者を驚かしてくれる。

一つの制作プロセスを確立すると表現力が倍増する、そして次にすることは、多作をしてそのプロセスに早く飽きることだろう。多作するプロセスの中で次えの 視界が自ずから見えてくる。先に、この個展の作品は浅見が求めていたものの帰着点と書いた。しかし、言い直すなら、この個展は彼女がこれから求めるものえ の出発点と言うべきだろう。

 

ギャラリーライター 中里 斉