2010年 10月の展覧会

吉澤光子 & 吉澤礼

日本の美 思索
“奇想の世界”

10月6日(水)〜 10月23日(土)
レセプション10月8日(金) 5時〜7時半

開画廊時間 :火〜金 12-6PM/土12-5PM(閉館日:日曜&月曜)

 

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NY Coo Gallery 10月の展覧会は、立体オブジェと絵画による展覧会です。

吉澤光子は彫刻家である夫と共に立体作品、舞台美術、博物館レプリカなどを手がける、造形会社(株)ラッキーワイドを設立し、その後、武蔵野美術大学で日本画を学んだ。

日本画の古典の中に多くの珠玉を見出しながら、常に新しい表現にチャレンジしてきた。今回出品する絵画のテーマは植物や生物を取り入れた奇想世界である。

造形会社を経営する父親、そして日本画を描く母親の影響を受けた娘の礼は現在大学で植物や動物について学んでいる。礼は日本古来の兜に出会い、日本の古美術の美しさに魅せられた。

兜について学ぶ内に、兜の美しさや精神性に触発され、立体を自分自身でデザインしてみたいと考えるようになった。

「三眼兜」は16世紀の日本の兜にインスピレーションを受けた作品である。今回デザインした「三眼兜」という兜には三つの目(玉眼=義眼)を配置した。「宇宙を内包している眼」「日本の仏の眼を模した、自分の内面を見つめることを促す眼」があり、見る者に真実を問いかける兜となっている。

どんな時代にも行雲流水のごとく生きる猫を擬人化したフィギュア、
奇想世界へと誘う使者(密使)である龍が載った兜、
平和を願う神聖な刀は全て、奇想世界に生きる生き物を具現化したものである。

兜や刀は通常武器にカテゴライズされるが、これらの作品は決して武器ではなく、平和を願うオブジェである。立体作品は全て繊維強化プラスチック製であり、ラッキーワイド社で立体化された。尚、兜は実際に着用可能なサイズとなっている。
 
15〜16世紀日本史上、戦国大名が領地をめぐり、戦闘を繰り広げた。武将は名誉をかけて命がけで戦ったが、その中には平和的世界の実現を目指した武将達の美学・哲学があった。当時の武将達の兜にはその思想ゆえに芸術的に優れたものが多く見られる。
 
1603年、徳川家康により天下統一がなされ、現在の東京に江戸幕府が開かれ、平和な大衆文化文化の世が訪れた。江戸時時代の大衆文化の根底には、侍の美学・哲学があった。

変化する時代の文化の美に、光子、礼、母と子2世代の視点から彼女達の独創的な美が加えられ、奇想の世界が繰り広げられる。

歴史の中には、未だ発見されていない可能性が多く潜んでおり、その可能性を自分達の手で実体化することは大きな喜びである。

日本の歴史と文化を通じて平和を訴えるこの展覧会に是非お越しください。

 

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--------- 展覧会の様子 ----------
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