An exhibition of 2005 contest prize winners

「三空展」

 

Grand Prize: 松窪英二
NYCoo Prize: 岩田小龍
Disital Prize: 上田隆義

NYCoo画廊7月は松窪英二、岩田小龍、上田隆義のいずれも平面作品による3人展、期待がもてるグループ展になるだろう。
題して「三空展」

この3人のグループ結成はまったく相互の交流なしの偶然にあり、その偶然性ゆえに作品制作の動機、発想、制作過程、目標の違いの対比に大いに惹かれる。この対 比は実際に会場に作品を持ち込むまで予想不可能だ。

しかし、この3人の作品の間に何らかの共通項が存在するかもしれない。在るとしたらそれは一体何だろ うか。また三様の作品が相互に抵抗するかもしれない。そして、このNYCooの空間に三角関係が生まれ、この題名となる。

作品制作過程、目標の違いも然る事ながら、かれら各々の芸術志向の経緯もまったく異にしている。

最年長の松窪は学部、大学院教育を多摩美、80年代半ばにNY 入りする。常に「自分は誰」「自分のオリジナルスケープは、最初の視覚的記憶は何」を求め、それを制作の基盤として抽象絵画の制作を続けている。

岩田は高校卒後、音楽活動に熱中、ライブ知告フライヤー造りからデザイン入り、デザイン専門学校を経て大阪2年、東京5年のデザイナー歴をもつ。その間 ポップアートを知り絵画制作に取り組む。’04 年美術に専念するためNY入り。
グラフィックデザイン的要素を持つ作品は幾層かの画面構成と明確な色彩からなり、絵画効果に富む。

上田は京都精華大卒後、和歌山県在住し、コラージュ、モノタイプ、ミクスドメディアをスキャニング、このデジタライズドデータをフォトショップでプロセ ス、水性顔料系インクジェットプリンターで出力。目標は新型アートの模索ではなく、あくまで従来の絵画表現だと云う。

この3人の相違点を書くはずが、計らずも相似点に触れてしまったかもしれない。それは各々が各々の方向性にあって「現代の絵画」を追求していることだろう。

そしてNYCoo画廊が昨年末企画した公募展に応募、共に受賞し、ここに彼等が作品を発表する機会を得た訳です。

アーティストレセプションに出席され、共に祝い、作品批評に参加される事を勧めます

ギャラリーライター 中里斉